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令和の終活にお墓はいらない理由

「お墓をなぜ建てるのかわからない」
「お墓はいらないんじゃないか?」
「お墓を継ぐ人が居なくても立てるべきなのか?」

お墓に対してこんなことを考えていませんか?この記事は「お墓、いらないかも?」と考えている人の背中を押す記事です。

(実際にお墓がいらない人向けサービス「花火葬」を実施している筆者が書いています。)

~この記事を読んで分かること~
お墓がいらない理由
令和時代を生きる私たちはお墓をどのように考えるべきか

~この記事を読んでほしい人~
お墓はいらないかも?と思っている人

▼目次(この記事は3分で読めます)▼
・令和にお墓がいらない理由は3つ
 本来のお墓の意味「先祖祭祀」が薄れてきていること
 お墓と継ぐ人「祭祀承継者」の減少
 お墓の無縁化が起因した事件は想像以上に深刻
・令和時代のお墓の考え方
 「建てなければならないもの」から「建てたきゃ建てるもの」へ
 キーワードは「脱・同調圧力」
 改葬(お墓の引っ越し)の忌避感はかなり薄れた

令和にお墓がいらない理由は3つ

建墓の本来の意味「先祖祭祀」が薄れてきている

本来のお墓の意味をどれくらいの日本人が知っているでしょうか?その意味は「先祖祭祀(せんぞさいし)」です。

お墓とはそもそもなんなのか?知っておきたい6の事
お墓のことはこちらに詳しく書いてありますが、先祖祭祀の意味は「すでに亡くなっているご先祖様が、私たちの生活に影響を及ぼしている」というものです。この考えに基づくと、故人の御遺骨を粗末に扱うことは私たちの生活に影響を及ぼします。なので立派な墓石でお墓を建て、遺骨を守りました。お盆やお彼岸には、墓石の前で手を合わし、故人とのつながりを感じ、自身の生活を保障してもらうように祈るのです。

この本来の意味が薄れてきているため、本質的にお墓がいらなくなっています。

理由は以下の2つです。
1.理由はどうあれ、本来の意味を理解したうえで建てている日本人が、現代は少数。つまり建墓自体が形骸化しており、人々を思考停止させている。
2.仮に1を理解していたとして、ご先祖様が私たちの生活に影響を及ぼすと本気で信じている人は、現代においてかなり少数であること

このような考えを理解している人からはツッコミが入りそうですが、知っていて且つ建てたいのであれば建墓するで良いと思います。建墓自体を否定しているわけではありませんし、 個人の自由です。

ですが本質的な意味を知らずしての建墓には相当な危機感があります。現代においては、建墓が手段ではなく目的となってしまっているように感じてなりません。

お墓を継ぐ人「祭祀承継者」の減少

祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」とは、簡単に言うとお墓の管理責任がある人です。墓守(はかもり)なんて言い方もします。この祭祀承継者の絶対数が減少してきています。

キーワード「人口構成」と「結婚」の2つです。

▼全人口に占める若年人口の推移▼
1970年代 2517万人/10467万人(24.0%)
2005年代 1759万人/12777万人(13.8%)
2050年代 821万人/9515万人(8.6%)

加えて未婚率の増加です。結婚している人が千人人口対比で表される婚姻率を昔と今で比較すると、1947年は12.0だったのに対し、2016年では5.0まで減少しています。これは、1000人中5人しか結婚していないというデータです。

つまり、今現在お墓の承継者は少ないし、今後も少なくなっていくよ。ということが数字から見て取れます。

ではシンプルにお墓を継ぐ人が居る場合はそれでいいのか?というとそうでもありません。

例えば以下の例
・祭祀承継者が遠くに住んでいる
・祭祀承継者が墓参りを全くしない

お墓を管理するお寺に一定期間管理費用を支払わなかった場合「無縁墓」として撤去されることになります。そして、これがものすごく増えており、社会問題化しています。

お墓を建てた、または家族のお墓をこのままにしておくことが、それだけ後世に負担を生んでしまいます。祭祀承継者への負担と「性格」を鑑みての建墓が大事です。

これが今現在のお墓の承継を取り巻く環境です。

お墓の無縁化が起因した事件は想像以上に深刻

フューネラル業界を取り巻く社会問題として「無縁化」がキーワードである言えます。令和時代の新しい社会問題で、これは必ず顕在化します。

無縁墓が急増している

一定期間、管理費用が納められていないお墓を「無縁墓(むえんぼ)」と言います。コミュニティが強い地域では少ないようですが、山間部などの過疎地域では急増しています。

熊本県人吉市の例です。
人口約3万人のこの小さなまちで市内の墓地995ヶ所の現況調査が2013年に行われました。結果、全1万5,123基のうち4割の6,474基が無縁墓だと判明しました。山の奥地にある墓地では、8割が無縁墓になってしまったそうです。

みんなの介護

(日本全国には無数のお墓があり、墓地の管理者が不明の場合や、無縁簿と断定するのに時間がかかるケースが多いため正確な実数は把握できていません。)

無縁墓により、地元住民と行政が泣く

戦後間もなくの混乱期に建てられたものが多い地域では、崖の斜面の途中や公園の中など、どうしてそんなところに?という場所に建てられていることもあります。景観保全はさることながら、防災上とても危険なものもあります。地震により頭上から墓石が降ってくるとあれば、ひとたまりもないことは容易に想像がつきます。災害が多い日本において防災上の課題は、優先度が高いものです。

また、無縁墓の撤去は行政により行われています。行政により執り行われることは、すべてが税金です。無縁墓の撤去には30~40万円/1基費用が掛かります(土地の再整備含め)。2009年から5年間で東京都の霊園を調査したところ、約1000基が無縁簿でした。単純計算で、すべてを撤去する費用は3~4億円かかります。実際に東京都では、無縁遺骨を収蔵する施設の整備費用として4000万円投資しています。これだけでも財政を圧迫しているということがお分かりいただけると思います。

参考:墓地行政について

このような記事も出ていますので参考にしてください。

 1979年に整備された屋良城址公園内は、戦後に建てられたとみられる墓が点在する。町は大規模な工事に伴い墓を移す必要があると判断し、2016年度に1155万円をかけて墓の使用実態を調査した。シーミー時期などに張り込んで聞き取りをしても、骨や骨つぼがある30基を含む107基は所有者など手掛かりがないという。

「購入した土地に知らない墓が…」 所有者不明の無縁墓、街づくりや防災の壁に 沖縄タイムス

実際に事件が起きてしまっている

無縁墓に関しては、様々事件が起きてしまっています。

1つ目は墓荒らし。2つ目は無縁簿(管理費用が収められていなかった)の撤去により行政が訴えられたケースです。

 6千基近くの墓があり、被害が集中した阪南市鳥取の「鳥取墓地」。新しい墓はほとんど被害がなく、無縁墓など古い墓ばかりが無理やり崩されたように壊されていた。墓石は大きい物で約1・7メートルで、重さは成人男性がようやく持ち上げられるほど。

お墓300基超が壊される 大阪の2墓地、府警が捜査中 朝日新聞

 大阪府北部の墓地公園に夫を埋葬していた兵庫県の妻と子の3人が、墓地公園を運営する宗教法人を相手取り、墓や遺骨を無断で撤去したとして約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が昨年12月12日、大阪地裁であった。地裁は原告側の請求を一部認め、宗教法人に約40万円を支払うよう言い渡したが、原告側は判決内容に不満たっぷりで、当初予定していた記者会見も開かずじまい。勝訴したはずの原告側が気分を害した判決の内容とは…。

【関西の議論】「遺骨」と「墓」はなぜ勝手に撤去されたのか…宗教法人の「行為」に下された判決の“中身” 産経WEST

もう一度確認しますが、建墓の本質的な意味は「先祖祭祀」です。建墓によりこのようなトラブルを起こしてしまっていては、何のためのものなのかわからなくなってしまいます。

お墓の在り方は真剣に考えなければなりませんし、無意味に形骸化した慣習に倣って建ててきた結果が現代の社会問題を生んでいるように思えてなりません。

令和時代の「お墓」の考え方

「建てなければならないもの」から「建てたければ建てるもの」へ

これからは本質的なコトに価値がシフトしていく時代です。そんな時代に虚構は通用しなくなります。

お墓においても同じです。お墓を建てなければいけないものと捉えている人が多いと思います。しかしどこにもそのようなことは記されていませんし、強制的なものでもありません。

お墓関する法律は「墓埋法」といいますが、この法律は主に「遺骨を土葬するときのルールについて記載している法律」です。建墓を強制する旨の記載はどこにもありません。

伝統は「行為の本質」と共に受け継がれなければなりません。しかし今のお墓にはそれがありません。 くどいようですが、建墓は義務ではないです。建てたければ、建てる。そんなスタンスが令和に必要です。

キーワードは「脱・同調圧力」

令和時代は個人の自由や意思が最大限尊重されます。「周りの目」や一種の「常識?」なるものに振り回されてはいけません。働き方改革が謳われていますが、令和時代は「亡くなり方改革」の時代です。個々人が法律の範囲内で、好きな場所で好きな人と好きなように最期を迎えるのです。そんな時代では、お墓に入るという選択肢がスタンダードではなくなります。

(補足ですが、お墓を否定していません。お墓に入る選択を取るのも自由です。筆者の考えは、形骸化した慣習が時代にそぐわない形で倣われ続けることの危機感に加え、個人の好きにしたらいいというリバタリアニズムから来ているものです。)

改葬(墓じまい)対する忌避感はかなり薄れた

「墓じまい=なんとなく悪いこと」という時代も変わり、改葬や墓じまいに対して「忌避感」が薄れてきているというデータが出ています。

1997年には年間約70000件弱であった改葬の件数が、2018年には約90000件に増えています。

人口の減少に反比例して改葬が増えるというトレンドも出てきています。今後墓じまいを検討する方は、以上のことも念頭に置くと行動しやすいのではないでしょうか。

令和の終活にお墓はいらない理由

・令和にお墓がいらない理由は3つ
 本来のお墓の意味「先祖祭祀」が薄れてきていること
 お墓と継ぐ人「祭祀承継者」の減少
 お墓の無縁化が起因した事件は想像以上に深刻
・令和時代のお墓の考え方
 「建てなければならないもの」から「建てたきゃ建てるもの」へ
 キーワードは「脱・同調圧力」
 改葬(お墓の引っ越し)の忌避感はかなり薄れた

令和のお墓は花火

「お墓参りが花火大会になる」
本来の花火が持つ意味を理解し、それを葬儀に活用している自然葬があります。それが「花火葬~灯(ともしび)~」です。自然葬と花火を組み合わせた新しい葬儀の形です。

お墓参りが花火大会になる「花火葬~灯~」とは

墓じまい後の御遺骨や、自身の葬儀に花火葬の選択肢も入れてみてください。

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