散骨は違法じゃない あなたが意識すべき3つの法律
「散骨って違法なのかわからない」
「結局のところ散骨って実施していいのか?」
「周囲を説得するために法律面の知識をつけたい」
散骨を実施しようとする際に気になるのが法律面です。この記事では散骨に関して意識しておくべき法律の話と、散骨の未来は明るく実施件数が確実に増えていくという事を解説します。
~この記事を読んで分かること~
散骨が違法ではないという事
散骨業界の未来が明るいという事
~この記事を読んでほしい人~
散骨を実施したい人
実施にあたり周囲を説得する材料が欲しい人
▼目次(この記事は2分で読めます)▼
・散骨が違法ではない理由 あなたが意識すべき法律は3つ
・墓埋法に対しての厚労省の見解は「散骨を規制する法律ではない」
・刑法190条に対しての法務省の見解は「節度を持ってやって」
・旅客不定期航路事業の届け出がされているか
・散骨の未来が明るい理由は「お墓がいらなくなってきている」から
・お墓の本来の意味が薄くなってきている
・墓じまいも増えている
・遺骨の処理には散骨がピッタリである
・散骨は社会問題の解決にもなる
・無縁遺骨問題の解決
・散骨のさらなる発展に必要な「法整備」と「環境負荷の誤解の解消」
・各々の「節度」に任せる危険性は想像以上である
・散骨は環境に良い
散骨が違法ではない理由 あなたが意識すべき法律は3つ
結論、実施者であるあなたが覚えておくべき法律は3つです。下記のチェック項目を参考にしてください。
□墓地、埋葬に関する法律:墓埋法は「土葬」を想定した法律
□遺骨損壊罪(刑法190条)は「粉骨」であれば該当しない
□散骨委託業者が旅客不定期航路事業の届け出をしている
墓埋法に対する厚労省の見解は「散骨を規制する法律ではない」
下記が散骨に対する厚労省の見解です。
厚生省「 墓埋法はもともと土葬を問題にしていて、遺灰を海や山にまくといった葬法は想定しておらず、対象外である。だからこの法律は自然葬を禁ずる規定ではない 」
引用:NPO法人葬送の自由をすすめる会
本文にもあるように、この法律は「土葬をする際のルールについて記載したもの」です。よってこれには該当しません。
遺骨損壊罪(刑法190条)に対しての法務省の見解は「節度を持ってやって」
下記が散骨に対する法務省の見解です。
法務省「 葬送の一つとして節度をもって行われる限り、遺骨遺棄罪には当たらない
引用:NPO法人葬送の自由をすすめる会
ここで言う「節度」とは、「粉骨加工」を指します。その際の注意点が2つあります。
▼粉骨加工(節度)の注意点▼
1.一片2mm以下まで粉骨する事
2.遺骨に含まれる六価クロムを除去する事
この2つを満たす必要がありますので、業者に委託して行ってください。
以上の様に、お国的にも「各々の裁量で節度を持ってやって」というスタンスです。ただ留意しなければならない点が、これは非公式見解であるという事です。ですので今後、法律面に関しては変わる可能性があります。
旅客不定期航路事業の届け出がされているか
散骨の際に、業者に完全に委託する場合は必要ないですが、同乗して行う場合に業者側に必要な手続きが旅客不定期航路事業の届け出です。
届け出を行っていない業者は違法営業となりますので、必ず業者に確認してください。
散骨を行うときの注意点
それでは具体的に散骨を行いたいときにどのような点に注意した方がいいのか解説します。
条例で散骨が禁止されている市区町村がある
いくつかの市区町村では陸地での自然葬を条例で禁止されています。そのためそのため法律で違法でなくても条例違反になってしまう可能性があります。そのため散骨を行う場合、その市区町村に確認を行う必要があります。
海や川、山、湖など場所によって散骨は迷惑行為?
漁業権がある海に散骨した場合、漁業権者から精神的苦痛や風評被害を理由に慰謝料請求や損害賠償請求をされる可能性があります。そのため法律や条例をクリアしたとしてもその場所の所有者や権利者に確認することが必要になります。
散骨の未来が明るい理由は「お墓がいらなくなってきている」から
令和の終活にお墓はいらない理由
こちらに詳しく書いてありますが、これからの時代に「お墓はいらなく」なってきます。お墓がいらなくなる理由2つと、それによりなぜ散骨の未来が明るくなるのか、その理由をまとめました。
お墓の本来の意味が薄くなってきている
お墓とはそもそもなんなのか?知っておきたい6の事
こちらにお墓のことを詳しく書いてありますが、お墓を建てる本質的な意味合いは「先祖祭祀」です。
先祖祭祀とは「すでに亡くなっているご先祖様が、私たちの生活に影響を及ぼしている」というものです。この考えに基づくと、故人の御遺骨を粗末に扱うことは私たちの生活に影響を及ぼします。なので立派な墓石でお墓を建て、遺骨を守りました。お盆やお彼岸には、墓石の前で手を合わし、故人とのつながりを感じ、自身の生活を保障してもらうように祈るのです。
この本来の意味が薄れてきているため、本質的にお墓がいらなくなっています。
理由は以下の2つです。
1.理由はどうあれ、本来の意味を理解したうえで建てている日本人が、現代は少数。つまり建墓自体が形骸化しており、人々を思考停止させている。
2.仮に1を理解していたとして、ご先祖様が私たちの生活に影響を及ぼすと本気で信じている人は、現代においてかなり少数であること
また、法律面や歴史を鑑みると、以下の項目に当てはまる人が建墓すべきといえます。
▼お墓を建てる?チェックリスト▼
□お墓の法律を説明できる、義務ではないことを知っている
□お墓をなぜ建てるか知っている
□個人もしくは自身の遺骨を守りたい
□墓石の前じゃないと故人を偲べない
□仏教徒である(仏教以外のお墓もあります)
□自分が死んだら肉体と魂が分けられ、魂は永遠に残り続ける
□ご先祖様が自分の生活に影響を及ぼすと信じている
墓じまいも増えている
ひと昔前までは「墓じまい=なんとなく悪いこと」という時代でした。しかしそんな間違ったステレオタイプも薄れています。
▼改葬や墓じまいに対して「忌避感」が薄れている定量的な裏付け▼
1997年には年間約70000件弱であった改葬の件数が、2018年には約90000件に増えています。
また、人口の減少に反比例して改葬が増えるというトレンドも出てきています。今後増々お墓の数は減っていくと考えられます。
遺骨の処理には散骨がピッタリである
では、その遺骨をどうするべきか?という問題に直面します。その方法として散骨があります。
その理由は「遺骨の管理が不要になる」という点です。現代は生き方に自分らしさが求められる時代です。墓守は地元に帰り、ご先祖様のお墓を守るという時代ではありません。
また、祭祀承継者(お墓の管理責任がある人)の絶対数も減少しています。少子化と未婚率増が原因です。そんな時代にお墓を建てることは、社会問題にもなっている「お墓の無縁化」を助長するばかりです。
少しネガティブ面にばかり目を向けましたが、何よりも「自然に還る」という行為自体が美しくありませんか。本来の人間のあるべき最期のカタチが散骨であり、自然に還るという事なのです。
散骨は社会問題の解決にもなる
人の死を取り巻く社会問題において重要なキーワードは「無縁化」です。散骨はこのソリューションにもなり得ます。
無縁遺骨問題の解決
令和の終活にお墓はいらない理由
こちらに詳しく書いてありますが、無縁遺骨をめぐってさまざまな事件が起きています。
▼ 千葉・市原市 の一例▼
ロッカーに遺骨57体 生活保護受給者ら
引用:毎日新聞
無縁遺骨問題の最大の被害者は「地方自治体」です。
墓埋法には「死亡した土地の自治体が火葬しなさい」規定されています。つまり、無縁遺骨の火葬は「税金」で行われるわけです。
そしてもう一つ、火葬後の遺骨は自治体が管理する「無縁遺骨堂」に格納されることになりますが、このスペースが年々ひっ迫してきています。つまり
・火葬にも税金
・格納スペースの増築にも税金
何にしても、財政を圧迫するという訳です。そして、無縁遺骨は年々増加している。かたや地方の人口は減り、税収が減少している。令和時代の深刻社会問題となっているわけです。
何年か経過した遺骨を散骨等で供養することを可能にすることで、対症療法ではありますが対応していく事は十分に可能です。
散骨のさらなる発展に必要な「法整備」と「環境負荷の誤解の解消」
各々の「節度」に任せる危険性は想像以上である
筆者の見解ですが、これはすごく危険な状態だと考えています。既得権益者によって、「新文化はとりあえず規制」という動きになりかねないからです。日本の悪しき風習です。
また一部住民反発が強い地域では、自治体の条例にて海洋散骨を規制するケースが出てきています。自然葬、海洋散骨が現代社会に適していても、実施ができなくなることになりかねませんから、一刻も早くホワイトにする必要があると考えています。
NPO法人葬送の自由をすすめる会は「自然葬推進法」という法律の制定に注力してくださっています。この法律を軸に、誰もが安心して自然葬を行える社会が近い将来実現すると確信しています。
散骨は環境に良い
誤解が多いですが散骨は環境に良いです。
環境に悪いのでないか?という指摘に「六価クロム」問題があります。遺骨に「六価クロム」が含まれている場合があります。
これは、粉骨してくれる業者さんにしっかり除去してもらう事が大事です。ちゃんとしている業者さんであれば、言わずもがなやってくれます。
逆に環境に良い理由、それは「リン酸カルシウム」です。富栄養化効能がありますので、肥料にも使われているます。
散骨は人の「死」が関わる分野が故、心情的にマイナスの面に目を向けられがちです。しかし、本質的には今後の日本に必要な行為です。デマ情報には惑わされず本質的なコトに目を向けられるように、情報の受け手のメディアリテラシーも向上させていく必要があります。
散骨は違法じゃない あなたが意識すべき3つの法律まとめ
・散骨が違法ではない理由 あなたが意識すべき法律は3つ
・墓埋法に対しての厚労省の見解は「散骨を規制する法律ではない」
・刑法190条に対しての法務省の見解は「節度を持ってやって」
・旅客不定期航路事業の届け出がされているか
・散骨の未来が明るい理由は「お墓がいらなくなってきている」から
・お墓の本来の意味が薄くなってきている
・墓じまいも増えている
・遺骨の処理には散骨がピッタリである
・散骨は社会問題の解決にもなる
・無縁遺骨問題の解決
・散骨のさらなる発展に必要な「法整備」と「環境負荷の誤解の解消」
・各々の「節度」に任せる危険性は想像以上である
・散骨は環境に良い
是非こちらもチェックしてみてください。